昨日だったか、とある書店に立ち寄ったら見つけてしまった。 ・・・・「楳図かずおのこわい本」という文庫本版コミックスを。
「闇のアルバム」とかいう、本当に10ページ以内の短編集なのだが、正直もの凄いクオリティ。ジャンルが多岐に渡っていて、スプラッターなシーンもおどろおどろしたシーンも他の漫画に比べたら少ないのだが、なんか怖い。ページをめくるのが怖いし、最後のオチが怖い。
絵も綺麗だし、細部に渡ってこだわっているのだが、あの顔の独特の陰影やゴスっぽい雰囲気が怖いのだろうか? 「ぐはっ」といった表現も怖いし、夜寝る前に読んでみた私がバカだった。怖い夢を見て、ウンウンうなされて今朝は、どよよんな気持ちだった。
やっぱり独特の「怖いもの見たさ」を刺激されてしまうのだろうか? ・・・・ということで、一瞬、楳図かずおのコミックスを集めようかと思っていたのだが、マジ、怖いので暫くは漫画喫茶で読むことにした。
・・・・「怖いもの見たさ」といえば、怖くて、暫くトラウマになった漫画があった。美内すずえ著の「白い影法師」という学園ものの漫画。

美内すずえと言えば、未だ未完の「ガラスの仮面」の著者として有名だが、初期のころは本当にいろいろなジャンルの漫画を描いていて、私はゴシックな雰囲気満載の昔のお姫様路線の「燃える虹」「王女アレキサンドラ」などが好きだった。基本的に「ガラスの仮面」に出会うまでは、美内すずえといえば、怖い漫画を描く漫画家さんと思っていたぐらい。
そんな中で、中学校のときだったかな。クラスで「滅茶苦茶怖い漫画がある」と話題になったのが、この「白い影法師」だった。
主人公が中学校か高校かは失念だが、転校してくるところから物語りははじまる。何故かそのクラスには、誰も座っていない席があった。転入生の主人公は、「あ、私あの席に座ります」と座ってしまうのだが、これが恐怖の始まりだった。
それから、学校の廊下、教室で女学生の幽霊を見かけるようになり、親しくなった友人に理由を聞いてみたら、その幽霊は「小夜子」といって、病弱だった女学生らしい。学校も休みがち、本人も目立たないぐらいおとなしかったから友だちができなかった。
だが、ある時転入生と小夜子が親しくなって、小夜子はとても嬉しかった。しかし、社交的な転入生はクラスにも馴染み、小夜子以外にも友だちが沢山できた。小夜子は転入生を独占しようと思うのだが、病弱で思うようにいかない。体育の授業も見学していなくてはならないのに、無理にマラソンしたりしてどんどん体が弱っていった。
最後は病死だか、自殺だが覚えていないのだが、小夜子は死んでしまった。恨みを残し、浮かばれない小夜子の霊が学校を彷徨い、たまたま転向してきた主人公に取り憑いていると、ある霊能者から言われる。
そして、小夜子の命日がくる。霊能者には「この日は絶対に学校へ行ってはいけない」と言われるのに、体がいうことをきかない。何かに操られるかのように主人公は学校へ向かい、自分の、いやかつての小夜子の座席に着席する。小夜子が亡くなった時刻が近づき、主人公の体が硬直し動かなくなった。どこからか小夜子の声が聞こえてくる。これは何? どこから声がするの? と、主人公が下を向いたとき・・・・・
机の中から恨めしそうに主人公を見つける小夜子の姿が目に入った。 「きゃあああぁぁぁぁぁ!」と、その瞬間、体が動き、主人公は席を離れた。すると、近所のビル建設現場のクレーンが窓ガラスを破って教室に倒れこんできた。教室内が騒然とするが、主人公は見ていた。自分が数秒前まで座っていた机がクレーンの下敷きになっていたのを・・・・。
こんなストーリーなのだが、最後まで一気に読める。内容がウル覚えなのだが、最初、女生徒が面白がって「こっくりさん」をするんだよね。「小夜子の霊を呼び出そう」みたいな感じで。主人公も半信半疑で面白半分にやっているのだが、本当に小夜子が降りてくる。
「寂しい、寂しい」と訴えて、それから小夜子がらみの霊現象が主人公の周辺で起きるようになり、ラストの机から顔を出す小夜子のシーン。これはコミックで見開き2ページにデカデカと表現されているが。当時、みんなで漫画本を見ていた友達が一斉に「きゃあぁぁぁぁぁぁl!」と叫ぶぐらいインパクトがあった。
私自身は「こっくりさん」の経験はないが、似たような「キューピッドさま」というのは何度かしたことがあった。でも、私が通っていた中学校は創立間もないというのに、何だか怪奇現象の噂が絶えないところで、実際に近くで自殺騒ぎとか、プールで亡くなった生徒とか、いろいろあったらしい。
沼地を埋めて学校を建設したというのもあったかもしれない。ただ、私自身、何となく薄暗い学校だなとは感じていたし、周りは田んぼだらけだから余計に怖かったんだよね。この「白い影法師」が大流行してから、「こっくりさん」「キューピッドさま」に興じる生徒は減ったようにも思う。
何事も面白がって、興味本位でやるのはよくないだろうし、それを当時、興味津々、好奇心旺盛の中学生だった私たちだけでなく、全国の同世代の読者たちに強烈なインパクトを与えたという意味では、この「白い影法師」はピカイチの存在だったのだと思う。
参考資料: 画像はないが、アマゾンコムでは「
白い影法師」を購入できるようだ
- 2006/07/23 18:49|
- [書籍]記憶に残るマンガのお話
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- #19▲
前回、「
心残る怖い話」として楳図かずお大先生への思いをいろいろ綴ってしまったのだが、今回は少女漫画ジャンルの中での「怖かった話」について語ってみたい。
少なくとも、少女漫画のジャンルにおいて、私は積極的に怖い話というものを読んで来た。ひとことでいっても、少女漫画での怖いジャンルというのはいろいろある。

例えば心霊もの。幽霊や怨念絡みで怖かったのは、成毛厚子著の「霊感少女--闇のカルテ―恐怖短編傑作選」。主人公が幽霊が見える能力があり、さまざまな幽霊騒ぎに巻き込まれるといった内容だったが、絵が綺麗な分だけ怖かった。昔、日本テレビ系で「あなたの知らない世界」という再現フィルムで視聴者の幽霊話を昼間に特集する番組があったのだが、まさにあの世界だった。漫画を読み終わったあとは、ひとりでトイレにいけないとか。

例えば、異性物もの。小学校のときにやたらと流行った漫画があった。ひとつは高階良子著の「化石の島」。これは当時ビックネーム(いまもビックネームだが)だった高階良子の意欲作で、単なるホラー漫画とは一味違った。同女史は「ドクターGの島」という作品も描いているが、これはバーバラ・バック(リンゴ・スターの奥様)主演の「ドクターモーローの島」とほぼ世界観が似通っていたので新鮮味は感じなかった(でも、原作は江戸川乱歩)ものの、「化石の島」は別。

ホラーというより、ホラーを下敷きにしたラブストーリーで、構成も非常に凝っていた。当時、少女漫画雑誌「なかよし」に掲載されていたというが、少女が読むには完成度高すぎ!と思ったくらい。他に「タランチュラのくちづけ」「地獄でメスが光る」「血まみれ観音」など、おそらく楳図かずおが描いていたら、背筋も凍るゾクゾク恐怖漫画になるのだろうが、高階良子はサラリと怖い、でもラブロマンスがメインだよと見事に少女に受け入れられるようなストーリにまとめた。
そして最後に、美少女による殺人鬼もの。これが楳図かずおであれば、また別の世界観になるのだろうが、少女漫画というのがミソ。主人公は美しく、はかなげで悪意なく己の純粋な欲望のために殺人を犯す。そして、主人公の残虐性に気がついた大人たちによって葬られるという筋書きなのだが、主人公たちが求めていたのは「愛」なんだよね。
ということで、ご紹介したいのが、わたなべまさこ著の「聖ロザリンド」。作品が発表されたのは1973年。私がこの作品を読んだのは、小学校高学年ぐらいだった。クラス中で「滅茶苦茶怖い漫画。読んだら夢に出てきそうなマジ怖い漫画」として男女関係なく夢中になった漫画本。
ある漫画好きな子が「お姉ちゃんのだから」といって学校に持ってきたのが発端。昼休みに読んでいたら隣にいた子が「おまえ、何読んでるんだ」と除き見してから、「まじ、こえー!!」と大声を出して、みんなその机の周りに集まり、夢中になっていたような気がする。
外国が舞台のこの作品。天使のように愛らしい8歳の少女が実は殺人鬼だった。母親と引き離され、修道院へ預けられる。母に会いたいがために修道院を抜け出すが、その方法は何とシスターたち全員を毒殺するという残虐な方法。確か何かに毒を混ぜるんだよね。
そこから抜け出し、心やさしい女性に引き取られたももの、行く先々で残酷な殺人を犯していく。ある時は体中にバターを塗ってネズミにかじらせたり、ある時は「死んだら宝石をあげるよ」という老女の言葉を信じて宝石を手に入れたりとか。
本当に天使のように可愛いのに、大人の嘘には敏感。その瞬間に目がキラーンと光って、「ひどいじゃない。おばさん、嘘つき!」と残虐な犯行に及ぶのは天性のものか。犯行が終わると、「ルンルン♪」とその場を立ち去っていく。ある時はなかなか相手が死なずに「あら、今日はとっても難しいわ」と言ってのける。

よくもまあ、少女漫画としてこの作品が1973年に発表されたなと感心するのだが、いまだったら社会問題となるのだろうか?
でも、思い出してみると、当時の私たちは、こんなのは許されないことだし、主人公の子、絶対おかしいよね、きっと親に虐げられたんだよ、なんて子供ながらに冷静に分析していた。きっと今読んでも相当なインパクトを受けるのだろうけど、いまのご時勢、ちょっと子供たちには読ませたくないなと思ってしまう私は、ずるい偽善をふるう大人になってしまったということなのだろうか?
この「聖ロザリンド」と似たようなストーリーだが、設定が微妙に違い、もっと私たちの日常に根付いている作品として印象に残っていたのが、こいわ美保子著の「真夜中のシンデレラ」。これは絶版となっているようだし、作者も2冊だけ作品がコミックス化されたあと、漫画の世界から足を洗ってしまったようだ。
ルリというハーフの少女がお屋敷で働く祖母のもとで育てられる。お屋敷には意地悪な同い年の娘がいて、ルリはなにかというと苛められていた。「お嬢さんなんか大嫌い」という子供心に鬱積した憎しみからルリはお屋敷に火を放つ。娘は行方不明。ルリは娘を亡くしたと思っている主人に取り入り、養女の座に居座る。
それから数年の月日が流れ、ルリは美しい高校生になっていた。だが、悪魔に心まで売り渡してしまったルリは、構内での権力を手に入れるため、生徒会長を落としいれ、名声を手に入れるため演劇部のスターだった先輩の女性とを廃人にしてしまう。
欲しいものを全て手に入れたルリだったが、ルリは愛に飢えていた。あるとき自分と同じハーフの年上の男性と恋に落ちる。おばあちゃん、私やっと好きな人ができたの。と男性の名を告げた途端、祖母の顔色が変わる。やめときなさい、それは許されないことだ、だって、あの人はルリ、おまえの・・・・と祖母が言いかけたとき、ルリは祖母を刺し殺す。
そう、ルリが愛した男性はルリの実の父親だったのだ。祖母の殺害現場に彼が居合わせてしまった。「これで、これで最後だから」とひとり言をいいながらルリは祖母の命を絶った。それで全てを悟った父は、ルリと二人永遠の旅に出る・・・・。「神様、全ては私の責任です。この子をお許し下さい・・・・」
と、ラストは二人の死を暗示するような内容だった。これも少女漫画雑誌「なかよし」に連載されていた。当時私は「なかよし」を購読していたのでリアルタイムで読んだ記憶がある。絵も非常に綺麗で、「聖ロザリンド」と比べると残酷な描写がなかった分だけ、ストーリーに感情移入できた。
とまあ、怖い漫画を語ると話が尽きない。もっと少女漫画チックな話に夢中になればよかったものを、私は何で怖い話に惹かれたのだろう?とはいえ、虫ウジョウジョ、スプラッター系のホラー漫画は苦手。やっぱり、ストーリーでゾクゾクさせてくれる「怖い話」がよいし、最後は少女漫画的な最後を迎えてくれるもののほうがいいと思う。
少女漫画の怖い話に求めるものは何か? それは、同じ題材でも、いかに少女漫画の世界観を作り出し、少女漫画チックに物語を作り出し、少女漫画としての魅力あるキャラを描き出すか、そして、少女漫画チックなエンディングを迎えられるか、これに尽きると思う。 ・・・・私の場合は、だけど。
- 2006/07/21 23:54|
- [書籍]記憶に残るマンガのお話
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- #18▲
ただただ、思い出話を綴るだけでは面白くないので、何かテーマ性を持たせようといろいろ考えてみた。
すぐにはセンスのいいテーマは見つからないものの、思い出話には尽きない。まあ、今頭の中に浮かぶテーマといえば、漫画。というのも、家から電車で駅4個目のところにある駅ビルの中にある某本屋。ここは何と文庫本コミックスにはカバーがかけてない。場所柄、本屋自体が目立たないというのもあるが、これは私にとっては目から鱗もの。
何でもかんでも購入しないものの、やはりチロチロっと昔懐かしい漫画は読みたくなるもの。おまけに途中まで読んでいたが、最終回を見逃して長いこと気になっていたとか、昔近所の理髪店で時間つぶしに読んだからハマッてしまったものの、次に行ったときには漫画そのものがなくて、タイトルも著者名も失念しかけていたとか、そんな漫画にめぐり合える機会が多い。
私の過去の思い出を語るなら、音楽、漫画、映画、テレビ、これらは欠かせないものらしい。ということで、今回のテーマは「漫画」そして、「子供のころ、トラウマになりかけた恐怖漫画」ということで思い出を綴ってみたい。
今回は、「楳図かずお」大先生の描く恐怖漫画について。

この人の漫画は、私が幼少期から何故か家の、しかも父の書斎においてあった。「恐怖」といったシリーズだったか。女の子の絵が非常に綺麗で、つい読んでしまったが、後からビビリまくり。百物語をしていた学生たちに起こる恐怖の話。確かこれは、心臓移植をした女性が、振動を取り戻しにきた幽霊に心臓をとられてしまうという話。
蜘蛛女の話もあった。何で蜘蛛になったかは失念だが、部屋の中に巣が張られており、捕まった男性が蜘蛛の糸でグルグル蒔きにされていた。あと、寂れた医者の話もあった。医者の待合室がドロドローと暗くて、医者もちょっと変なヤツだった。割と最近の「洗礼」という母親が子供に取って代わるという突拍子もない話は、もう途中でギブアップ。
時代劇風の「鬼姫」は、人間の悲哀を描いていて、非常に印象に残っている作品。お姫様の身代わりとして農村から連れてこられた普通の娘が「鬼姫」と化していくくだりが最高に怖かった。最後は、悲劇。だが、何となく物悲しい気分になったのを覚えている。

それでも、今でも読みたい漫画がある。「おろち」といって、シリーズものなのだが、超能力者の「おろち」が見つめる人間の憎しみ、怒り、愚かさ、浅はかさ、悲しみ、残虐性を描いた佳作だと私は思っている。テーマがあって、先に述べたストーリーはどこかエンターテイメント性があり「動」とするならば、「おろち」は「静」という言葉がしっくりくる。
家族、親子、兄弟、人間とは、人間の尊厳とは、生とは、死とは、老いとは、病気とはなどと、極限に遭遇したときの人間の醜い姿が「おろち」では描かれている。心臓麻痺で死亡したある男性。生への執着があったのか、奇跡が起こったのか分からないが、墓場で蘇った。土葬だったのだろうか。彼は、家族に会いたいがために必死になって墓場から脱出する。しかし、体は死んでいるのだ。どんどん腐ってくる。そして彼がとった行動は? 実はこの先は恐ろしくて読んでいない。
ホラー漫画は好きでも、虫のウジャウジャ系の漫画は生理的に受け付けずに、そのままになってしまった。
だが、この他にも、善人で自分のことよりも他人を尊重する偉大な父を持った息子の葛藤を描いたシリーズも秀作だった。息子が父の過去、つまり戦争時代の父のおぞましい行動を戦友だったという人間から吹き込まれる。父に対する尊敬が一気に失せる。だが、真実かどうかは分らない。父に確かめることもできない。そんな父は息子に山登りに行こうと提案し、そこで・・・?

これ以外にもいろいろあるのだが、現在、書店では「おろち」シリーズが文庫本になって復刊された。先日、立ち寄った書店でも見かけた。その存在に気にはなっているものの、何となく立ち読みできないでいる。おそらく、子供のころは、そのストーリーを読み取って、物語、フィクションとしてとらえていたものが、大人になったいま、余計なことを考えてしまうのではないか。
読んだ後に嫌な感情が沸き起こるのではないかと、勝手に不を抱いている自分がいる。ただ描写が怖いのではない、その裏にある人間の本質が怖いのか、その漫画を通して己の醜さを見てしまうから怖いのか、その辺のところは複雑な感情が入り混じっているので言葉でうまく表現することはできないのだが。
まあ、読みたくなったら自然に手にとって読めるようになるだろうし、実際には悲劇は少なかったように思う。いろいろ深い部分で考えさせられる話が多かったので、タイミングが合えば、きっと読めるのだと思う。というか、読みたいんだよね、本当は。なんか知らないがビビッているようだ。
ただ、楳図かずおの恐怖漫画を読んでしまうと、他の怖い系の漫画を読んでも「ゾクゾク」とは来ない気がする。瞬間的にはくるのだが、体の芯から「怖い」と思うのは、楳図かずおだけだと思うのは私だけだろうか? (一番最初に読んだ怖い漫画だったから、これも一種の刷り込みかもしれない)
- 2006/07/20 13:14|
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