1980年への扉、1970年への階段

1970〜1980年代にハマっていた洋楽や映画、TV番組について動画を見ながら思い出語りしていきます。

なぜか記憶に残る世界の童話  「幸福の王子」

 「なぜか記憶に残る世界の童話」ということで、前回、思い出した童話について考えを述べさせてもらった。

 だが、あとで思った。ただ単にイチャモンつけたいだけ? それとも子どもの頃に漠然と抱えていた疑問を、ここにきてあれこれと勝手に理屈づけて、夢をぶち壊しているだけ?

 童話は子どもたちが読むもの。子どもに夢や希望、幸福を与えるものと思っているが、ときには、「人生ってこんなに甘くないさ」的な教訓を与えるものであってもいいと思っている。

 イソップ童話なんかもそう。グリム童話などもそうだ。ただ、グリム童話では、ここ数年、「初版ではこんなこと書かれていた」と初版の残虐性などばかりがクローズアップされて紹介されているが、確かにその一部分だけ見れば残酷だと思う。

 「シンデレラ」の話。 ・・・・王子のお妃になれたシンデレラは、かつて虐げられた継母と姉たちを熱い鉄板の上に素足で立たせ、笑いながらその様子を見ていた。

 「ヘンゼルとグレーテル」の話。 ・・・・食べ物がもうなにもない。一家四人このまま飢え死にするよりは、子どもたちを森へ棄ててしまったほうがいいと指南した継母は実の親だった。

 「白雪姫」の話。 ・・・・白雪姫の美しさに嫉妬した魔女の継母は毒リンゴで姫を何度も殺そうとした。だが、この継母は実の親だった。

 このほかにも、アンデルセン童話の「赤いくつ」などは、残酷というよりも、罪を償うこととはどういうことか、それがなんともまあ、子供心にショッキングが描写で表現されていたりもする。(ミサに行かずに赤い靴を履いて踊りほうけていた娘。いつしか、靴が勝手に踊りだしてしまう。自分の意思ではないのに、踊りをやめることができない。娘は、どうか私の足を切ってください、と懇願し、両足を失うというくだり)

 これらの童話は、確かに初版のまま、ストーリーそのものが子どもに読みきかせるには残酷だし、読み終わったあともスカッとしないものがある。子どもから「ママ、どうして?」攻撃に遭い、返答に困ることも必須だろう。

 しかし、私が屈折しているのか分からないが、私が大人になってから童話を読み返したり、思い出してみると、こういった「残酷さ」が強調される童話ではなく、一見いいことのように思えるが、実は突っ込みどころ満載だった童話のほうが印象に残っている。

 例えば、「幸福の王子」。

 街の広場に金箔の王子さまの銅像があった。体中の至るところに宝石が施され、王子さまは何年にも渡って人々の生活を見てきた。あるとき、ツバメと王子さまが友達になる。

 王子さまがツバメにお願い事をする。ある貧しい家がある。明日のパンにも困っている。ぼくの目から宝石を取り出して、その家に置いてきて欲しい。ツバメは快諾する。しかし、王子さまはまたお願いする。今度はあの家なんだ。赤ちゃんがいるのだけど、ミルクが変えない。僕のサーベルの飾りに宝石が埋め込んである。それを取り出しておいてきてくれないか。

 ツバメは今度も快諾した。しかし、王子さまのお願いことはやまない。宝石を全て取り出すと今度は体を覆っている金箔をはがして貧しい家に持っていってくれとツバメにお願いする。ツバメは渡り鳥。冬が来る前に暖かいところにいかねばならない。

 「王子さま、私は仲間のところに行かねばいけません」といったものの、王子さまの熱意に負けて、ツバメは王子さまの金箔が全てなくなるまで王子さまに支持される通り、金箔のカケラを届けた。しかし、季節は寒い冬になっていた。 ・・・・ある朝、雪が降り積もっていた。金箔がなくなってしまった王子さまの像の足元に力尽きたツバメが横たわって死んでいた。

 というお話。結構感動ものの話で、泣ける話だったと記憶している。ツバメから宝石や金箔を届けられた人々は、天からの贈り物と思い感謝したというが、でも、それで人々は幸福になったのだろうか?

 タイトルは「幸福の王子」だが、意地悪な味方をしてみれば、王子さまは「幸福」だと自分で思っていたが、ツバメは本当に幸福だったのだろうか? 確かに本では王子さまもツバメの天国に召されて永遠の命を授かったとあるが、どうなんだろう。

 貧しい、お金がない、といえば確かに「不幸」かもしれない。だが、お金があっても「不幸」な人はいる。一時的に宝石や金箔を貧しい人に届けても、それは一時的な生活費の足しでしかない。あとのことを考えれば、彼らはそこから学習して「きっと、こまったら天から贈り物がくる」と期待してしまったのではないか。だが、期待しても贈り物はやってこない。そのとき、彼らはどう思うのだろう?

 王子さまは、自分の持っているものが誰かの役に立ってくれたと思えば、満足だろう。幸福だろう。ツバメは死んでしまったが、南の国へ行くか、王子さまのところに残るかの選択肢があったとき、ツバメはどんな理由にせよ、自分で己の道を選択した。となれば、悔いは残っていないはずだ。

 こんなことを考えると、最後まで責任もてないのに「相手に期待させてしまうことって罪」なんじゃないかなと思う。ちょっと深読みすると「幸福な気持ちで天国へ召された王子さま」ということなのかなと。

 別に残酷な話がよくて、偽善ぶった話がよくないということではなく、なにかを考えるきっかけを与えてくれるということが大事なのであって、内容云々が問題ではないのではないか?

 最近は、「子どもに読ませたい本」というのが紹介されるようになり、絵本選び、本選びも楽になった。だが一方で、暗黙のうちに「読み聞かせには向かない本、ジャンル」ということで、いろいろ通達があるのも事実だけに、そんなに敏感になることもないのに、意識することもないのにと思っただけなんだけど、こんなことを考える私も相当屈折しているなと思ったりもした。

テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

  1. 2006/07/30 15:11|
  2. [書籍]記憶に残る絵本のお話
  3. | CM:2 |
  4.  #24

コメント

昔読んだ幸福の王子を思い出し
ふと検索してここにたどり着きました。

お考えを読んでいると一理あると思いました。人は低きに流れるものですから
きっと、情けや慈悲は人のためにはならないのかも知れませんね。


  1. 2007/11/24(土) 23:58:24 |
  2. URL |
  3. bey_na #-
  4. [ 編集]

bey_naさん、お返事遅くなりごめんなさい。

「幸福の王子」については、いろいろ思うことがたくさんあります。確か去年のいまごろ、曽野綾子さんが執筆した「幸福の王子」を読みました。彼女はクリスチャンですが、いろいろ考えてみると「幸福の王子」はキリスト教の教えが多く盛り込まれている絵本なのかもしれないと思ったのです。

その辺の深い部分が理解できなければ、私自身なかなか「王子様の気持ち」も、「王子様の頼みを最後まで聞いたツバメの気持ち」も理解できないとも思います。

また、「赤い靴」というのもこれと同じぐらい難しい本だとも思います。

人は生まれながらに平等ならば、哀れみから誰かに何かを施すのも、またその施しによって「自分はいい事をした」と思うことも何か違うと私は思ってしまうのです。王子様は目に見える困った人を「自分のもの」を与えることで救ってあげましたが、これは彼らを本当に救ったことになるのか、それって王子様の「いい事した」という自己満足に過ぎないのではないか、与えてもらったものがなくなれば、その「困っている人たちはまた困ることになる」のではないかと、今でも思います。

でも、一つの考え方として素晴らしいことだと思いますし、いまは「そういうのもあっていい」と私も柔軟な考えにはなっています。

と、話がまとまりませんが、いまはこんな気持ちです。ずいぶん前の記事にコメントくださってありがとうございました。
  1. 2007/11/26(月) 17:07:12 |
  2. URL |
  3. PANKO #PTRa1D3I
  4. [ 編集]

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